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重粒子線治療とは

重粒子線治療の歴史
世界をリードしてきた日本の重粒子線治療

1970年代、米国での臨床応用から始まる

重粒子線治療の初の臨床応用は米国で行われました。1970年代、米国ローレンスバークレイ研究所で、ネオンイオン線を用いた臨床研究が開始され、多くの知見が示されました。しかし、1993年に資金難と装置の老朽化のために治療を終了しています。

1984年 世界初の医療専用装置「HIMAC」の建設計画が開始

米国に続き、日本では1984年、国の「第1次対がん10カ年総合戦略」の一環として、放射線医学総合研究所(千葉県)に重粒子線治療装置「HIMAC」を建設する計画がスタートしました。医療専用装置としては、世界初の取り組みが日本において開始されました。

1994年 HIMACによるがん治療開始

約10年かけて完成したHIMACは、1994年より臨床試行が開始され、難治がん治療への取り組みが開始されました。治療実績を積み重ねながら、併行して照射技術の高度化や普及のための小型化に向けた研究開発も開始されました。

2003年 先進医療の承認

2001年時点で治療患者数は累計1,000名を超え、2003年には厚生労働大臣より高度先進医療(現「先進医療」)として承認されました。

2010年 普及型重粒子線治療装置(群馬大学)が治療開始

重粒子線治療の有効性が認められた2002年、全国のがん患者の治療ニーズに応えるため、国内2番目の重粒子線治療施設として兵庫粒子線医療センターが開設されました。その後、群馬大学に世界初の重粒子線治療システムが導入され、重粒子線治療の普及に向けて大きな一歩を踏み出しました。同大学では2010年に重粒子線治療が開始され、2013年には九州国際重粒子線治療センター(佐賀HIMAT)でも治療が開始されました。 2016年1月には、神奈川県立がんセンター(i-ROCK)で最新の照射技術である高速3Dスキャニング照射法を用いた重粒子線治療が開始されました。i-ROCKでは、がん病巣周辺の正常組織へのダメージを抑え、患者への負担軽減に取り組んでいます。 2013年には、都市中心部型重粒子線がん治療施設として大阪重粒子線治療センター(OSAKA HIMAK)が開設されました。
2020年に7番目の施設である東日本重粒子線センター(山形大学)が超伝導技術を用いた小型回転ガントリーを導入し、重粒子線をあらゆる方向から照射できるようになり、患者は楽な姿勢で治療を受けられるようになりました。 2016年4月からは前立腺がんなどのいくつかのがんが保険適用となり、重粒子線治療は日本において重要ながん治療として認知されつつあります。(2024年には11種類のがんが保険適用) 国内の7施設では43,000人以上の患者が治療を受けています(2023年末現在)。

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